第30章 マロンscene2+green
◆green side
俺は自分の荷物をまとめた。
そのまま着替えて、荷物を車に運んだ。
もうだめなんじゃないかって思いから、俺は抜け出せなかった。
なにかをしてないと不安で。
俺はにぃの家から逃げる作業に没頭した。
6年分の荷物は結構あった。
車に積みきれなくて、一度家に行った。
にぃの家に戻るとまた荷物を車に積み込んだ。
その最中に、にぃは戻ってきた。
「まー…何やってんだよ…」
にぃの目に怒りが灯った。
俺はあえてそれを無視した。
荷物を詰める手を止めなかった。
「…こっち向けよ雅紀」
涙が溢れそうで、見ることができなかった。
「一旦、家戻るから」
それだけ言うのが精一杯だった。
「なんでだよ…」
にぃはソファに座り込んだ。
何も言わないのはにぃなのに…
それにあの長い髪の毛
あれはなんなの?
にぃは俺の腕を突然掴んだ。
寝室へ行くと俺をベッドに投げ出した。
またヤられる
そう思った俺はあの髪の毛を掴んだ。
にぃの目の前にそれを差し出した。
にぃの目が大きく見開かれた。
俺はにぃの手にそれを握らせると、残りの荷物をまとめて家を出た。
にぃは追いかけて来なかった。