第30章 マロンscene2+green
◆green side
俺とにぃは沈黙に包まれていた。
にぃの部屋で俺は半裸で放心状態だった。
無理やり犯された。
嫌だって言ったのに。
にぃは何かに苛立っていた。
でもそれは何か、俺にはわからなかった。
聞いても言ってくれない。
涙が溢れてくるけど、それを拭う気にもならない。
どうして何も言ってくれないの?
なにを苦しんでるの?
ベッドの上で寝返りを打った。
枕の下に手を入れた。
何か違和感を感じた。
何かが指に絡む。
引きずり出すと、それは髪の毛で。
俺は訳が分からず、それを振り払った。
それがとてつもなく汚いものに見えた。
慌てて俺は風呂場へ行った。
にぃはそんな俺に目もくれなかった。
熱いシャワーを浴びながら、俺は泣いた。
声を出して泣いた。
にぃが浮気をした。
でも…
俺には責める資格なんてない。
だって、先に浮気をしたのは俺だもの。
そのまま床に崩れ落ちた。
体中から力が抜けた。
もうだめかもしれない。
にぃと俺の6年。
ここで終わりかもしれない。