第29章 ラズベリーscene4
ある日また、上手く描けた。
今度は祠も一緒に描いた。
神様のお家を描くのは、ちょっとどうかと思ったけど。
でも一片の絵になると思ったから、どんどん描けた。
結構いい出来だったから、またスケッチブックから剥ぎとってお供えした。
祠の前に跪いた。
なんだか自然とそうしたくなった。
そのまま手を合わせて頭を垂れた。
びゅうっと風が吹いた。
顔をあげたらまた絵が無くなっていた。
慌てて探した。
また無くなっていた。
「ああ~…ゴミじゃないですよ…」
そう言っていたら、後ろに翔ちゃんが立っていた。
「どうしたの智くん?」
「あ、おかえり…」
「そんなとこで…服汚れるよ?」
そう言って俺を立ち上がらせてくれた。
「絵が上手く描けたからお供えしたら、飛んでった…」
「ああ、神様が受け取ってくれたんだね」
そう言ってにっこり笑ってくれた。
「あ、そうなのか!」
そうか、お狐様は喜んでいてくれた。
神様も受け取ってくれたのかな。
「そうだよ思うよ」
ふふふっと翔ちゃんは笑った。
翔ちゃんは手にお揚げさんを持っていた。
それを二人で供えて、また手を合わせた。
明日は、また翔ちゃんちへ行く。