第29章 ラズベリーscene4
その夜、また不思議な夢を見た。
また大きなしっぽに包まれて眠っていた。
目が覚めたら、翔ちゃんも隣で眠っていた。
ふわふわのしっぽはこの前よりも大きなもので。
ふたりいっぺんに包まれていた。
翔ちゃんもすぐに目を覚ました。
俺を見つめると、微笑んだ。
俺も微笑み返した。
ぬっと俺たちの間に、大きな白い口先が入ってきた。
神様だった。
その口には絵が咥えられていた。
神様は大きな狐で、前にみたお狐様よりも2倍近い大きさだった。
その口先が、俺と翔ちゃんの顔を交互に撫でた。
ふわふわして気持ちよかった。
「ふふ…喜んで貰えたみたいだね、智くん」
「うん…くすぐってぇ…」
俺たちはその口先に抱きついた。
「神様、ありがとうございます」
そう言うと、口先が上がっていった。
ケーンと大きく鳴いた。
二匹の小さなお狐様が、お揚げを咥えて小躍りしてた。
俺たちはそれを幸せな気分で眺めていた。
翔ちゃんが俺の手をぎゅっと握った。
「俺、頑張るから」
「うん。俺も頑張るよ、翔ちゃん」
その手のぬくもりを感じながら、ふわふわのベッドでまた眠った。