第29章 ラズベリーscene4
家に帰ったら、無理やりうつ伏せに寝かされて、たんこぶを冷やされた。
ほっぺたに熱さまシートまで貼られた。
「大丈夫だよ…?翔ちゃん…」
「ん、でもちょっとだけ」
そう言ってまた俺を膝枕した。
「でもこれ…」
「なに?」
「襲ってくれって言ってるようなもんだけど…」
「ばっ…何言ってるのっ」
翔ちゃんが怒った。
暫く口を聞いてもらえなかった。
ごめん…
夕飯はまた、お稲荷さんにお供えしたお揚げさんを食べた。
今度は味噌汁に入れた。
「このお揚げさん、肉厚で美味しいね」
翔ちゃんがはふはふしながらお味噌汁を啜る。
とっても幸せな風景だった。
「翔ちゃん…」
「ん?」
「俺さ、頑張るから」
「え?」
「お父さんのこと…だからさ、諦めないで?」
「智くん…」
「一緒に、話していこう」
「うん…ありがとう…」
翔ちゃんの顔が引き締まった。
「智くん。俺も頑張るね」
そう言って、一気に味噌汁を啜った。
俺も美味しい味噌汁を飲み干した。
なんか力が湧いてきた。