第29章 ラズベリーscene4
「なにか話があるようだけど…?」
お父さんは俺の向かい側に座った。
隣にお母さんが座る。
早速きた。
翔ちゃんと俺はソファに掛けた。
「父さんこの前、智くんに会いにきたんだって?」
「ああ…そうだったかな?」
顎に手を置いた。
暫く撫で擦っていたが、急に手を外した。
「そうだよ。大野くん、考えてくれたかい?」
「えっ?」
「父さん、今、俺が話しているんだ」
翔ちゃんが遮った。
「ちゃんと最初から話すね…」
翔ちゃんが姿勢を正した。
俺も姿勢を正す。
「俺が、最初に智くんを好きになったんだ」
「えっ…」
お父さんが驚いた顔をした。
「好きでたまらないから、俺から智くんの家に押しかけた」
「翔…」
お母さんも驚いている。
そっか…俺んちはそういうの話しやすいけど、翔ちゃんちは違うんだ…
そこ話せてなかったんだ…
「俺は…俺も翔さんに惚れました」
「えっ…」
お母さんがまた驚いた声を上げた。
「智くん…」
「ごめん。翔ちゃん…」
一言謝ってから続けた。
「俺も翔さんを好きになりました。一緒に暮らすうちに、翔さんは俺には無くてはならない人だと気づきました」