第29章 ラズベリーscene4
ご飯を食べたら、二人でじっと見つめ合った。
「智くん、俺、父さんと話してくるよ」
「え?」
「まだ俺からはちゃんと話してなくて…」
「そうなの?」
「実は…お見合いの話がきたんだ。だから母さんが、先走っちゃって…」
「あ、そうだったんだ…」
前にあったお見合いの話を聞いていたから、すんなり理解できた。
翔ちゃんのお父さんは、こっそりお見合いさせるのが好きみたいだ。
「だから…俺、ちゃんと戦ってくる」
「え?」
「智くんが俺のこと、大野の家の一員にしてくれたんだから、俺もがんばる」
「翔ちゃん…」
「だから…一人で…」
「だめだよ。翔」
「え?」
「俺も行くから」
「でも智くん…」
「俺は、翔のなに?」
「え…」
翔ちゃんは真っ赤になった。
俯いたけど、また顔を上げた。
「旦那さん…」
俺は顔がにやけた。
いかん。
ぱしっと頬を叩いた。
「一緒にいくから」
「智くん…」
「俺も一緒に戦うって決めたんだ」
翔ちゃんの肩に手をおいた。
「俺達の問題なんだから。一緒に戦う」
じっと見つめたら、翔ちゃんが頷いた。