第29章 ラズベリーscene4
部屋に戻ると、お供えして下げてきたお揚げをオーブントースターで焼いた。
それとお豆腐と白飯で朝食にすることにした。
米を研いでスピート炊飯。
思えば昨日の夜から、何も食べてない。
なのにあんなに激しい運動しちゃて…
お腹がグーグー言ってる。
でも不思議とそんなに疲れてはいない。
朝食ができると、早速頂いた。
「はい、これはお稲荷さんからのお下がりだからね」
そう言って、お揚げを翔ちゃんが押し頂いた。
俺も手を合わせて。
翔ちゃんがふふっと笑う。
「信心ってさ、叶わないかもしれないけど、そう思ってる心が大事だよね…」
「うん…」
叶わないかもしれない…
でも、叶うと信じ続ける。
最悪、翔ちゃんのお父さんとは絶縁になるかもしれない。
でも叶うと願い続ける。
そういうことなんだろうな…
俺達は醤油を揚げに垂らして、食べた。
今まで食べた、どのお揚げさんよりも美味しかった。