第29章 ラズベリーscene4
二人でお風呂に入った。
翔ちゃんの後ろをきれいに洗う。
「ごめんね…中にいっぱいだしちゃって…」
「ううん…いいんだよ…嬉しかったし…」
「翔って、マゾじゃないよね…」
「へ!?」
「いや、冗談…」
「も、もおおっ!」
久しぶりに心から笑った。
こんなに二人の気持ちが通じあっているだけで、嬉しいなんて。
翔ちゃんの気持ちがわかることが嬉しいなんて。
洗い終わったら、ぎゅっと抱きしめた。
「お腹こわしたらごめんね」
「うん…大丈夫だから…」
お風呂から上がると、早速豆腐屋へ向かった。
不思議なことに、翔ちゃんは何も言わない。
「翔ちゃん、何も聞かないの?」
「え?」
「なんでお豆腐屋さん行くか」
「あ…だって…なんか俺、夢見て…」
「え?翔ちゃんも?」
「え?智くんも?」
「うん…なんか幸せな夢だったから、お礼しようと思って…」
「ぶっ…智くんが!?」
「わっ、笑うなよっ…このひと月、ずっと隣のお稲荷さんに通ってたんだから…」
「え…?」
あ、余計なこと言った。
「翔ちゃんは?どんな夢みたの?」
「え…しっぽに包まれてる夢…」
「え!?マジで!?」