• テキストサイズ

カラフルⅠ【気象系BL小説】

第29章 ラズベリーscene4


翔ちゃんはリビングのソファで、膝を抱えて座っていた。


帰ってきたまんまの格好だった。


そのまま考え事を始めてしまったから、そっと家を出たのだ。


「翔ちゃん?」


「うん…?」


「晩御飯、買いに行ってくるね?」


「あ、一緒に…」


「ううん。いいよ?俺、行ってくるね」


翔ちゃんの家の近所には、スーパーがあるから、手頃な惣菜を買える。


俺は一人で出かけた。


スーパーに着く前に、前方から見たことのある人が歩いてきた。


俺が見ていることに気づくと、その人は頭を下げた。


白髪の混じった髪の毛を、きちっと撫で付けている。


眼鏡の奥の瞳が誰かに似ていた。


「あっ…!」


「やあ、大野君」


「翔ちゃんの…」


「覚えててくれたかな?」


「はい…お久しぶりです…」


スーツのジャケットを手に持って、お父さんは立っていた。


「どこかで話しをする時間はあるかな?」


子供に話しかけるように聞いてきた。


「あ、はい…」


もう会うのは10数年ぶりだ。


仕事が忙しくて、コンサートにもこれなかった。


「じゃ、行こうか…」


そう言って、俺の先に立って歩き出した。
/ 1124ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp