第29章 ラズベリーscene4
一ヶ月経つと、だいぶお狐様をかっこよく描けるようになってきた。
祠の前にいる二体の狐は真っ白で。
耳の中が赤くて、目が細い。
瞳が金色で、真ん中の黒目はちょこっと点で描いてある。
身体に黒でアクセントがつけてあるのがかっこいい。
しっぽは大きくて、ふわふわしてそう。
あんなしっぽにくるまれて寝てみたい。
そんなかんじ。
ある日の夕方、とってもかっこよくお狐様を描くことができた。
おこがましかったけど、それを祠にお供えした。
手を合わせると、なぜだか無心になった。
そのまま深い闇の中へ瞑想した。
ケーンと、動物の鳴き声が聴こえた気がした。
目を開けたら、祠に供えた絵がなくなっていた。
「アレ?どこいった?」
風で飛んでいったかと探したが、どこにもなかった。
「おっかしいなぁ…?」
汗だくになって地面を探したけどやっぱりなくて。
ゴミを捨てたかと思われたら、神様に悪いから必死で探したんだけどなかった。
「ああ…ゴミじゃないですからね…神様…」
そう言ってがっくり肩を落として部屋に帰ってきた。