第2章 4月
どういう事かわからず、私はきょとんとしてしまった。
気怠げに研磨は続ける。
「鈴がよく喋る時は、自覚して無いけどはしゃぎ過ぎて疲れてる時」
確かに今日から体験入部だったし、張り切って給水ボトルの準備もボール拾いもして、いっぱい走った。
「肩、寄りかかっていいから…」
そう言うと研磨はすぐにそっぽを向いてしまった。
(確かに…眠いのかも)
その言葉に甘えて、私より少し背の高い肩にそっと体重を預ける。ジャージ越しに伝わる体温があったかくて、安心する。
「…研磨が、優しい」
「俺、鈴にはいつでも優しいつもりだけど?」
冗談なのか本気なのか、そんな声が聞こえて。
私はすぐに眠りに落ちた。