• テキストサイズ

【ハイキュー!!】陽だまりの猫

第2章 4月


―孤爪研磨と満員電車―



(いつも、こんなに混んでるの…!?)

部活帰り、駅のホームは人で溢れ、混沌としていた。
行きの電車はかなり早い時間帯なので、座れこそしないがそれなりに空いていた。

満員電車が珍しい訳ではないが、これから毎日となるとやはり気が滅入ってくる…。


研磨は「後ろの車両の方が降りるとき楽」と言って、慣れたように人を避けてスタスタと歩いていく。私は付いていくのに精一杯だった。


ドン、と行き違う誰かのカバンがぶつかりよろける。
横や後ろを歩いていたサラリーマン達は迷惑そうな顔をして私を睨みつけながら、足早に追い越していく。
転ぶことは無かったが、前を行く研磨の姿がすこし遠くなった。

(置いてかれちゃう…)

赤いジャージと染めて金色になった頭を見失わない様に必死に後を追う。

「研磨っ…」


声が聞こえたのか、研磨は後ろに私がいない事に気づいて戻ってきてくれた。

「…ゴメン鈴、歩くの早かったよね」

そう言って、研磨は私の右手をしっかり握る。
いきなりでビックリしたけど、研磨は平然としていた。

「離れちゃダメだよ」

またくるりと背を向け人の波を上手く避けながら私の手を引く。


(手を繋ぐのっていつ振りかな…?)

歩きながらそんな事を考えた。

研磨の手は中学生の時より骨張っているというか、前よりバレーをしてる人の手って感じがしてきた。

黄色い線の内側までお下がりください、とアナウンスがホームに響いて、電車がやってきた。
車内は疲れた顔をした大人達で少し混み合っていた。



/ 162ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp