第2章 4月
テスト期間中はもちろん部活禁止で、3教科の試験を終えいつもより大分早い時間に帰宅した俺は、なんとなく部屋の片付けをしていた。
…勉強なんかとっくに飽きた。
押入れ代わりのクローゼットから昔集めていた漫画を見つけた時に、テスト最終日の結果はおそらく決まっていたのだろう。
オフクロからのメールで我に返った時には、すっかり日は沈んでいた。部屋の時計は夜の7時少し前を指している。
「…やっちまった」
とりあえずメールの内容を確認する。
『仕事が遅くなりました。スーパーのお惣菜買ってくけど、何食べたい?』
小さい頃から両親は共働きだから、よくあるメールだった。
なんでもいい、と返すと逆ギレされるのは経験済みなので鈴の意見を聞こうと、隣の部屋をノックした。
扉の向こうは静かだった。
もう一度ノックしても返事はなかったので、おそらく寝てるのだろうと予想した俺は「入るぞ」と、声を掛けドアノブを回す。