第5章 7月
―犬岡走と初めての気持ち―
時刻は5時半。布団を畳んで身支度を整える。
ちなみにみんなが起きる前に戻れたので、部屋を抜け出したのはバレていないはず。
朝のシャワーが使えないので寝汗のベタベタが気になっていたところ、まだ眠そうな仁花ちゃんから汗ふきシートというものをもらった。これは凄い。さっぱりした。帰ったらおばさんに買ってもらう予定。
そしてみんなより一足先に支度を終えた私は、昨日干した洗濯物を取り込みに向かった。
夜干したばかりだったけど、薄手のビブスはカラリとよく乾いていた。
黄色が烏野で、ピンクは…森然だっけ?
ハンガーから外し枚数を確認して色ごとに重ねて、シワにならないように軽く畳み洗濯ネットに戻す。
最後に残しておいたのは音駒の青。
番号を見ただけでみんなの顔が思い浮かんで、嬉しい気持ちになる。
全て取り込んでガランとした物干し竿を見て、少し達成感。
梟谷の雀田さんからビブスは体育館の邪魔にならないところに置いといてねと言われていたので、私はほんのり洗剤の香りを纏ったビブスを抱えて体育館に向かった。