第5章 7月
―犬岡走とから元気―
夕飯のカレーを食べた後、私と仁花ちゃんは今日の試合で使ったビブスの洗濯を任されていた。
ちなみにビブスというのはユニフォームの代わりにTシャツの上に着る背番号のついたベストの事らしい。
なんでビブスって言うんだろ?なんてことを考えつつも手を動かす。ビブスを色ごとにネットに分けて、それを洗濯機に詰め洗剤を入れてスタートボタンを押す。
うちの学校はコインランドリーか家まで持ち帰って洗濯だから少し羨ましい。
ガーガーと音を鳴らしながら洗濯機は回り始めて、私達は近くの花壇に腰掛けた。
待ってる間にお昼の事を謝ったら、仁花ちゃんは気にしないでって言ってくれた。
「ご飯の途中にいきなり倒れるから、私てっきり毒でも入ってたのかと思って焦っちゃったよ」
(…ど、毒!?)
照れ笑いしながらそんな恐ろしいこと言うから少しびっくりしてしまった。
それから仁花ちゃんは烏野の人達についていろいろ教えてくれた。
美人でみんなの憧れの清水先輩に誘われて、最近バレー部に入った事。最初は迷ってたけど、今日遅れて来た日向くんのお陰でやってみようと思えたんだって。
あと、あの不良みたいなエースの人は実は優しいって話にはびっくりしたし、1年セッターの影山くんがとにかく凄いって事も興奮気味に話してくれた。
5チーム分の洗濯物を半分ずつ2台に分けた洗濯機がそれぞれに脱水終了の電子音を鳴らすと、おしゃべりを一旦中断して私たちは黙々と干す作業に移った。