第9章 僕らの知らない君【十四松、一松】
【十四松side】
昨日はおそ松兄さんとチョロ松兄さんが行ったんだよね。全員で動くと目立つし怪しまれるから、毎日交代で二人制にするんだってー。
そういえば僕、この何日か絵菜に会ってないなぁ。おとというちに来てたらしいけど、入れ違いだったしねー。
彼女が仕事に行き始めたら、もっと会えなくなるんだろうな。なんかやだなぁ。
あっ、いけない、ちゃんと周り見ないとー!
「…なぁ、男の特徴ってなんだっけ?」
「んー、ちょっと待ってね」
僕はパーカーのポケットから画用紙を取り出して、一松兄さんに渡す。
「これ描いたの誰?」
「トッティ!」
「…あいつ意外に絵上手だな」
彼女を襲った?男っていうの、トッティしか知らないから、昨夜描いてもらったんだよね。うん、確かに上手!
「…茶色の短髪、鋭い目付き、背高くて細身…え、こういう男ってけっこうよくいるよな。もう少しなんか分かりやすい特徴ないの?」
「そんなじっくり見てる暇なかったから、うろ覚えなんだってー」
「ふぅん…とっ捕まえるのは難しそうだな」
あ、一松兄さん捕まえる気だったんだ。闇のオーラがすごい。
うーん、それにしても、絵菜が心配だなぁ。一応トド松が毎晩彼女にMINEで無事を確認してるみたいだけど、僕らがこんなことしてるのは内緒にしてるみたいだし。
彼女にも彼女の生活があるから、毎日遊ぶわけにもいかないもんね。もしそうできたら、もっと安全なのになぁ。
バレずにこそこそやるのって大変……あれ?