第8章 芽生えた感情【トド松、おそ松】
「はい、3分な」
お湯を入れたカップ麺をテーブルの上に置き、彼女の隣に腰を下ろす。
「ありがとう」
嬉しそうにはにかむ彼女。お、ちょい元気出てきたっぽい?
「この3分ってのが、短いようで長いんだよなー」
「あ、それ分かるかも。ただ待ってるだけだと、いつも以上に長く感じちゃうよね」
「そうそう。俺なんてこないだ十四松とカップ麺食おうとして、大人しく待ってらんなかったからお互い縛り上げたら大変なことになったんだよなー」
「ふふっ、何それ」
…うん、笑ってる笑ってる。
それでいいんだ。彼女には元気であって欲しい。
女の子って男と違って繊細だからな。下手な慰めは逆効果だろうし、何があったのか分からない以上、こうしていつも通りに振る舞うのが一番だろ。
…そういやトド松はなんで絵菜ちゃんと一緒にいたんだろうな。訳ありがどうのこうの言ってたし、あいつは確実に全部知ってんだろうけど…
……あれ、なんか腹が立ってきた。末っ子が知ってて長男の俺が知らないってのが微妙に気に入らない。