第7章 動き出す、歯車
なるほど…と納得しかけて、ぴたりと止まる。あれ、その理屈だと…
「…なんだかごめんなさい…」
「…え、なんで謝んの」
「だって、私ルルのこと滅多に外に出さないから…家に閉じ込めちゃってるの、可哀想だなって」
項垂れる私を見て、一松くんはバツが悪そうな顔をする。
「あ、いや…一概に、そうとも言えないけど…」
「そうなの?」
「うん…少なくとも、こいつは…あんたに飼われて、幸せだって思ってる。…な、なんとなく、そんな気がするってだけだけどね」
「一松くん…」
ありがとう、と伝えようとしたその時。
「いーちーまーつー?」
「「!?」」
いつの間に来ていたのか、笑顔のおそ松くんが台所の入り口に立っていた。
満面の笑顔…なのにどうしてかな、背筋が凍る絶対零度の何かを感じる…。ルルも野生の勘で察したのか、一松くんの腕から飛び下りて廊下の方に走り去っていってしまった。
おそ松くんがにやにやしながら一松くんに近寄る。
「随分絵菜ちゃんと親しそうにしてんじゃーん?二人きりで何してたのかな?うん?」
「…い、いや、別に何も…」
「ほんとーにー?ま、いいけど。みんな待ってるから、部屋戻ろうなー」
気迫に圧されて言い返せず黙り込んでしまった一松くんの肩に腕を回し、二人は台所を出ていってしまった。
…あれ、そういえば私、何しに台所に来たんだっけ…?