第7章 動き出す、歯車
あれ、おかしいなぁ…確かこの辺に…
台所の棚を漁ること数分。麦茶の袋がどこかにあったはずなんだけど、どこだったっけ。
「……ねぇ」
「ひゃわぁッ!?」
いきなり背後から声がして、奇声を発しながら体をびくつかせる。
振り返ると、無表情のままの一松くんが立っていた。
「あ、い、一松くん。どうしたの?」
一松くんに顔を向けると、彼は私から視線を逸らした。ほんの少し頬が赤いような…気のせいかな?
「…その、手伝おうと思って」
聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声でぼそっと呟く。
その様子がなんだか意外で、思わずふふっと笑みが溢れた。
「…え、なんで笑うの」
不機嫌そうに眉根を寄せる一松くん。怒らせちゃったかな?
「ごめんごめん。一松くん、優しいんだなと思って」
「な…!」
?どうしたんだろう、今度は驚かせちゃった?頬がさらに赤く染まってるような…