第7章 動き出す、歯車
『あ、おいこら十四松!』
再び電話口の向こうで騒ぎ出す声。…なるほど、6人ともなるとスマホ1つじゃこうなるのか…。いや、そもそも6対1って時点ですでに成立してないよね、あはは。
『絵菜ー!僕だよ、十四松!』
「う、うん、久しぶり十四松くん」
『あのねー!僕たちみんなで、絵菜のためにお祝いパーティー開こーって話してたんだー!』
お、お祝いパーティー!?
「そ、そんな、気持ちは嬉しいけど、そこまで大げさに祝ってくれなくてもいいよ?」
『えー、そうなのー?どうするーチョロ松兄さん』
十四松くんがチョロ松くんにバトンタッチするためにスマホを離したのか、聞こえる声が小さくなる。
『ちょ、そこで俺に振るの?言い出しっぺは一松じゃなかった?』
『…べ、別にパーティーとまでは言ってない。ただ、普通に会うだけじゃあれかなと思って…』
『じゃあどうするんだ?』
『お、俺に聞くなよ…おそ松兄さん決めれば。一応長男でしょ』
『えぇ、俺!?』
何やらごにょごにょと、みんなで相談しているような声が…といっても、ほぼ丸聞こえなんだけれども。
やがておそ松くんが再び電話口に出た。
『ごめんごめん、待たせちゃって。あのさ、もしよければ、なんだけどー』
「うん?」
『君んちに行っちゃだめ?』
…………
①古い
②汚い
③よって恥ずかしい
チーン
「私の家、ダメ。ゼッタイ。」
『いやなんで片言?!』