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【おそ松さん】本気の恋と、6つ子と、私。

第4章 帰り道





【おそ松side】



…あー、あの子可愛かったなぁ。


俺は家までの道すがら、ぼけーっとさっきの女の子のことを思い出していた。


たまたま屋台で知り合っただけの、名前も知らない女の子。


今までもこういう出会いがなかったわけじゃない。街中で可愛いと思った子に声をかけたこともあるし、数は少ないけど合コンだってしたこともある。…まぁ全部玉砕したけど。


なんでか俺がいいなって思った子には、毎回拒絶されんだよね。…トド松っていつもどんな風に口説いてんだか。


でも、あの子は違った。


普通同じ顔の成人男性が6人もいたら、怖くて逃げ出すか気味悪がって逃げ出すかの二択…いや実質一択か。しかないはずなのに、そんな様子もなく自然に俺たちの輪の中に入ってきて。


全くの初対面の俺たちと、分け隔てなく明るく接してくれた。楽しかったとまで言ってくれた。


今時あんな度胸があって優しい女の子なんてそうそういないよなぁ。


…そういえば、あの辺に家なんてあったっけ?住宅街からはだいぶ外れてるよな。もしかして引っ越してきたとか。


また会えるか分からないけど、名前くらい聞いておけばよかったな。


「…就活、ねぇ」


ぽつりと呟く。本当は俺たちもあの子を見習うべきなんだろうけど…


「…まだいいや」


そんな簡単には変われないわな。やりたい仕事もねぇし。


…でも、あの子の応援くらいは、心の中でしておこう。


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