第16章 踏み出す勇気【チョロ松】
後ろから声がして振り向くと、会計を済ませたらしいチョロ松くんがお店から出てきた。
「あ、チョロ松くん。今ね、アンケートを…」
「アンケート?」
チョロ松くんは私の隣に来て、アンケート用紙を覗き込む。さっと目を通したかと思うと、彼は怪訝そうな表情を浮かべた。
そして無言で私からバインダーとボールペンを奪い、
「これ、お返しします」
と、冷たい口調で言い放ち、男性に突き返した。
「チ、チョロ松くん?」
「ま、待ってください、彼女は協力すると…
「協力はできません。…行こう、絵菜ちゃん」
チョロ松くんは私の手を握り、戸惑う男性を置いて私たちはその場を足早に離れた。