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【おそ松さん】本気の恋と、6つ子と、私。

第15章 気まぐれな猫は、恋を知る【一松】





私は店員さんに二人分の注文を済ませると、再び猫たちを観察し始めた。


すると、一匹の黒猫が私の足元に寄ってきて、すりすりと体を擦らせてきた。


「わ…ふふ、くすぐったい」


ルルと同い年くらいかな?ちっちゃくて可愛い。


試しに撫でてみると、気持ちよさそうに目を細める。大丈夫そうなので、私はその子を持ち上げて抱っこしてみた。


か、可愛い…癒される…


「ねぇ一松くん、やっぱり猫カフェってい……えぇッ!?」


隣の一松くんに話しかけようとして、ぎょっとする。


彼にはすでに10匹以上の猫が群がっていた。そんな中でも平然としながら猫を撫でている一松くん。


「なんか言った?」


彼は目だけでこちらを見る。あ、いや、何からツッコめばいいんだろう…


「えっと…す、すごいね?」


「ああ…野良もそうだけど、どうも俺って猫に好かれる体質みたいなんだよね。猫の方から勝手に寄ってくるんだ」


そんな体質聞いたことないよ…


「にゃー、にゃー」


「よしよし…」


こ、これ、写真に撮りたいくらいとんでもない光景なんですけど…!


呆然としていると、頼んだドリンクが運ばれてきた。一松くんが「ばいばい」と言うと、猫たちが一斉に離れていく。意思の疎通まで…!


「い、一松くんって、猫なの?」


!しまった、混乱のあまり訳の分からない質問をしてしまった!一松くんが気を悪くする前に撤回しないと!


「えっ…」


…しかし、彼はなぜか頬を染めて嬉しそうな表情。…そこ、喜ぶんだ?恐るべし、ネコスキー。


ふと、一松くんが私の飲んでいるウィンナーコーヒーに目をやる。


「…それ…おいしいの?」


「え?あ、もしかして一松くん、コーヒー苦手?」


一松くんはこくんと頷く。


「俺…苦いのとか辛いのってだめなんだよね。甘いのは好きだけど」


「甘党なんだね」


「…笑わないの?」


「どうして?」


「俺が…男が甘党とか、女々しくない?」


「そんなことないよ。スイーツ男子とかって言うでしょ?むしろ私も甘いもの好きだから、好みが同じで嬉しいかな」


「!…ふ、ふーん…」


あ、またそっぽ向いちゃった。いっぱい喋ってくれると思ったらこんな風に素っ気ない態度をしたり。気まぐれなところは確かに猫に似てるかも。


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