第15章 気まぐれな猫は、恋を知る【一松】
やってきたのは、私が東京に来たら絶対に入りたかったお店…
「…猫カフェ?」
一松くんが建物を眺めながらぽつりと呟く。
そう、ド田舎出身の私にとって、都会の猫カフェはまさに憧れ中の憧れだったのだ。地元にもあるといえばあるのだけれど、数はそんなにないし小さい店ばかりだからな。
「え、もしかして初めてなの?猫カフェ」
「ううん、地元にいた頃に1、2回くらい入ったことはあるよ。でも東京では初めて!ネットで都内の猫カフェという猫カフェを徹底的に調べ上げて、まずはここがいいかなって目星をつけてたお店なんだ!」
鼻息を荒くする私に、「どんだけ猫好きなの…」と一松くんは肩を竦める。
「そういう一松くんは入ったことあるの?」
「週1は必ず来るけど」
「左様でございましたか…」
さすが、毎日欠かさず野良猫のお世話してるだけあるなぁ…多分私より猫好きだって、一松くん。
「…まぁでも、この店には来たことないから、そういう意味ではあんたと一緒。…入る?」
「うん!」
入り口で入場料を支払い、靴を脱いで中に上がる。
最近できたばかりの新しいお店だからか、店内がすごく広くて綺麗!
そして何より、
「にゃー」
「にゃーん」
あ、愛らしい猫ちゃんたちが、至るところにいっぱい…!ここが天国だったのか…!
「…奥、行かないの?」
「はっ!ご、ごめんね!」