第3章 世にも稀な6つ子たち
「ってわけで、お前ら先帰ってろ。この子は俺が責任持って送ってやるから!」
「はぁ?!なんでそうなんだよ!むしろおそ松兄さんが危険だろ!」
「ああ…一番危険だな」
「おそ松兄さん変態だからねー」
「変態!変態!」
「なんなのその俺への熱い風評被害!誤解されるからやめてくれる?!」
やいのやいのとまた口論を始めてしまった6つ子たちを前に、呆然と立ち尽くす私。…帰っていいのか悪いのか…。
腕組みをして、どうしたものかと悩んでいると、
「…送ってもらったら?」
と、横から低い声がしたので振り向くと、いつの間に移動したのか、若干気持ち悪そうにしている一松くんが、私の隣に立っていた。
「い、一松くん、さっき吐いてたけど大丈夫?」
「ん…平気。それより、あのバカ兄貴のことだけど」
「バカ兄貴…」
おそ松くんのことだろうか…。
「本気であんたのこと心配してるだけだろうから…知り合ったばかりの他人なんて信用できないかもしれないけど、頼っていいと思うよ」
「一松くん…」
「…っそれだけ。じゃあね」
そう言うと、一松くんはさっさと私の横を通り抜けて行ってしまった。