第3章 世にも稀な6つ子たち
「チビ太さん、おでんごちそうさまでした。美味しかったです」
「おぅよ!また来てくれよな!」
「はい!」
乱闘がなんとか収束し、みんなと他愛のない話で盛り上がって飲んだり食べたりすること一時間。
私はチビ太さんにお代を渡して挨拶をしてから、すっかり仲良くなった6つ子のみんなと一緒におでん屋台を後にした。
…そういえば、みんなのお代はツケだったみたいだけど、よほどチビ太さんと仲がいいんだなぁ。にしては、帰り際チビ太さんの表情が険しかった気がするけれど、まぁいっか。
「なーチョロ松。今何時?」
「11時回ってるよ。さすがに飲み過ぎたな…」
「もう帰るか」
「一松兄さんだいじょーぶー?家まで担ごうか?」
「…いい…うぇっぷ…」
「弱いのに無理して飲むからだよー「オロロロロロ…」ってわー!ちょ、ここで吐かないでぇぇっ!!」
少し前を歩く6つ子のみんなを眺めながら(一松くんとトド松くんがとんでもないことになってるけど)、小さく笑う。
不思議だなぁ。初めて会った人たちなのに、なんでこんなに一緒にいて安心感があるんだろう。
1人でいるのはなんだか寂しかったし、6つ子っていう珍しさに惹かれたから、あんなに自然に会話できたんだと思うんだけど…ほんとに不思議。
ふいに、おそ松くんが私の方を振り返った。
「なぁ、君んちってどこ?」
「え?」
「いや、男としてこんな時間に女の子1人で帰すわけにいかないだろー?近くまで送ろうかと思ってさ」
…え、えぇ!
「そ、そんな、悪いよ!私なら大丈夫だから!」
ただでさえ私に付き合ってくれたみんなに、これ以上迷惑はかけられない。そう思って断ったのだが、
「気にすんなって!俺こう見えても強いからさ、十分ボディーガードできるよ?」
おそ松くんは鼻の下をこすりながら、だははーっとふんぞり返る。…だめだ、話聞いてない。