第14章 揺れる心【カラ松】
「…カラ松くん」
「!も、もしかして気に障ったか?だとしたら悪かっ
「ううん、違うの。あのね」
私は、彼のギターを持つ手にそっと触れる。
「カラ松くんは、そうやって自然体のままでいる方がかっこいいよ」
「…!」
「少なくとも私は、今の笑顔を見てそう思ったし、今のあなたの方が好き」
「…!!」
今まで、カラ松くんと一緒にいる時、僅かに違和感を抱いたことが何度かあった。
気にしなければ気にならないくらいの違和感だったけれど、ずっと私は、カラ松くんの素顔が見たかったんだと思う。
派手な格好をしたり、かっこつけた台詞を吐いたり、ところ構わず見栄を張ったりするような彼ではなく、
あの時…私を助けてくれたように、誰かのために怒ることができるような、優しく他人想いな彼を。
「…絵菜」
名前を呼ばれる。次の瞬間、
…額に、柔らかいものが当たった。
「…!っか、カラ松くん…?」
間近にある、彼の顔。ギターを弾いていた時と同じ、凛とした表情だった。
「…君がそう言うなら、俺は本気になる」
「え…?」
「別に仮面を被っていたわけではないが…君が素の俺を好きだと言ってくれるのなら、もう以前の俺には戻らない。…だから、絵菜」
抱き締められる。
「…君には…俺のことだけ、考えていてほしいんだ」
「!」
…くらくらする。彼の言葉は、まるで心と体を支配する媚薬のようで、私はうまく言葉を紡ぎ出すことができない。それどころか、手足も思うように動かなくて…
熱い…
バッ!!「…?」
急にカラ松くんが私から体を離して後退する。表情も元通りで、しかも真っ赤になっていた。
「……!!や、そ、その、すまない!と、取り乱してしまったようだ…」
…あ、いつものカラ松くんだ。私もだんだん頭が冴え渡ってくる。
「えーと…も、もう夕方だな!名残惜しいがデートはここまでだ。自宅まで送っていこう」
「あ…っ」
ささっと素早くギターを片付けて、カラ松くんは私の手を引き立ち上がる。
彼に見えないように、キスされた額に手を添えてみる。…まだ、熱を持っているような気がした。