第14章 揺れる心【カラ松】
一呼吸ついて、カラ松くんはギターで音を奏で始める。
…ゆったりとした、癒しの音色。曲名は分からないけれど、すごく穏やかな気持ちになれる、優しい曲だった。
私は静かに耳を傾けながら、彼の演奏に聴き入る。ふと隣を見れば、カラ松くんが今までに見たことがないほど真剣な表情を浮かべていて。
私はいつの間にか、彼の演奏より、その凛とした横顔に見惚れてしまっていた。
やがて演奏が終わり、カラ松くんがまたもや息をつく。
「…その、どうだっただろうか?一応ミスはなかったはずだが…」
「…え!?あ、す、すごく良かったよ!」
いけないいけない、ぼーっとしてた。後半、カラ松くんの顔をずっと見てただなんて、口が裂けても言えないよ…!
「本当か?気を遣わなくていいんだぞ?」
「本当だよ!すごく優しい音色で、曲も心に染み渡るっていうか、温かかったっていうか!カラ松くんのテクニックもすごかったし、あ、でも私ギターってそんな詳しくないんだけど、その、素人目にも分かるくらい上手で…っとにかく良かった!!」
自信なさげなカラ松くんを元気づけようと、思わず必死になってしまう。全部本心とはいえ、あまり必死だと逆に冗談だと思われちゃうかも!一旦落ち着かないと…と思った、その時。
「ははっ」
…カラ松くんが、笑った。
「え…?」
「ああ、すまない。君があまりにも必死に俺のギターを褒めるものだから…ははは」
初めて見る彼の笑顔に、胸がきゅうと締め付けられる。
いつもの得意げな笑みじゃない。きっとこれが、彼の素の笑顔。