第14章 揺れる心【カラ松】
それから私たちは電車に乗り、カラ松くんの提案でとあるショッピングモールにやってきた。
「人が多いな」
「うん。ここって平日でもこんなに混むの?」
「俺も頻繁に来るわけではないから分からないが、この辺りではわりと有名な場所だからな」
「そうなんだ。さすが都会」
引っ越して半月以上経つけど、未だに慣れないなぁ、私。どうしても地元と比べちゃう…ド田舎だったもんね。
「…なぁ、絵菜」
「なに?カラ松くん」
「こんなに人が多いんだ。万一はぐれたりでもしたら、再び合流するのは難しいだろう」
「うん」
「だから、その…なんだ」
気のせいかな?カラ松くん、少し顔が赤いような…
そこで、カラ松くんの動きがぴたっと止まる。彼の目は、ある一点を凝視していた。
不思議に思い、私も同じ方向を見やる。仲睦まじそうなカップルが、腕を組んで歩いていた。
…あ、もしかして。
「私たちも腕組む?その方が離れる心配ないだろうし」
「へっ!?」
特に深く考えずに言ったつもりだったんだけど、カラ松くんはなぜか変な叫びを上げながら目を見開いて私を見る。
「い、いや、確かに一理あるが、こ、恋人同士でもない男女がう、腕を組むというのは…!」
「あ、そうだよね。ごめん、カラ松くん、あのカップルのこと見てるような気がしたからつい」
「!?」
今度は真っ赤になりながらわなわなと震え出してしまう。
私、また見当違いなこと言っちゃったのかな?
「あの、カラ松くん」
「…絵菜」
「え?」
カラ松くんは少し俯いていて、表情が見えない。でも、耳までほんのり赤く染まっている。
「…君が…嫌じゃなければ…」
彼が左腕を僅かに浮かせる。なんとなくその意味を察して、私は自分の右腕を彼の体と腕の間の隙間にするりと通した。