第9章 僕らの知らない君【十四松、一松】
【一松side】
はぁ…めんどくせぇ。
なんでこんなにイライラしなきゃならねぇんだ。あいつらが仲いいのは今に始まったことじゃないだろ。
十四松は純粋で明るくていい奴だから、誰とでもすぐ仲良くなれる。そう…クズでネガティブで燃えないゴミの俺ですら、あいつの傍にいるのは心地がいいと感じてるくらいだ。
だからなおさら、同じ属性の絵菜が惹かれるのも納得できるはずなのに。
…俺、絵菜を十四松に取られたみたいで、嫌だったんだ。
この前あいつの家に行った時、あいつは俺を自分と対等に扱ってくれた。俺の目を見て話してくれた。それが嬉しかったから、心のどこかで勘違いしてたのかもしれない。
…絵菜が俺に向けてくれる優しさは、ひょっとしたら特別なものなのかも…なんて。
んなわけないだろ。あいつはああいう奴なんだ。俺が一人で舞い上がってただけ。
…全く、つくづく嫌になるよね、こんな自分。なんで生まれてきたんだろ。前にチョロ松兄さんが言ってたな、6つ子はしっくりこないって。5人がちょうどいいって。
いらないのはトド松じゃなくて、俺なんだ―。
「……ん?」