第9章 僕らの知らない君【十四松、一松】
「…い、いい。子供じゃあるまいし…」
もう、照れ屋だなぁ、兄さんは。…あれ、絵菜も顔赤い?二人とも似てるー!
「あはは、じゃ張り切って行こーっ!」
「じゅ、十四松くん、まずはどこを案内してくれるの?」
「夢のような場所だよ!」
「え?夢のような…それってヒント?」
「十四松の言うこといちいち真に受けなくていいから。あんたってほんと天然だよね…」
「え?えぇ?」
***
僕たちはまず、家の近くにある商店街にやってきた。
「懐かしい〜。地元にもこんな並びあったな。都会ってこういう昔ながらの商店街って絶滅してると思ってた」
「いやそれどういう解釈」
「あはは、ここに来ればなんでも揃うよ!スーパーよりも安いし、値切り交渉もできるし!」
「おぉ〜!」
「主婦か」
「少し向こうに行くと、服屋と雑貨屋もあるんだー!小さいけど、電気屋もあるよ!ここに来れば生活に必要なものは大体揃うんじゃないかなー?」
「すごく詳しいんだね、十四松くん。ここよく利用するんだ?」
「ううん、子供の頃は来てたけど、大人になってからはぜーんぜん!」
「そうなんだー!」
「…え、今のツッコまないの?」
***
次はちょっと移動して、飲食店がたくさん建ち並ぶ通りに来てみたよ!
「和食屋さんに洋食屋さん、中華料理店まで!」
「たまに家族みんなで食べに来るんだ!絵菜は何が好きー?」
「好き嫌いはあまりないけど、食べていて特に幸せを感じるのは、焼肉とかステーキとかすき焼きとか…」
「…肉食系肉がここにもいた…!」
「絵菜食いしん坊だもんねーっ」
「そういう問題か?!」