第2章 別人との再会
草木が風に吹かれ、さわさわと揺れる。桜は既に満開で、散り行く時を待っている。
——あの日から、5年が経った。
二十歳になった俺は、一人前の天使を目指して大學に通っていた。イーブィもユラも、同じくだ。
丸いテーブルを3人で囲み、軽い昼食を摂りながら駄弁る現在(いま)。
…もし、アリアが生きていたら。
4人一緒に、今日の日を迎えられたのだろう。
そんな事を、俺はあの日から毎日の様に考えている。
「…あっ、ねぇユラ、今通った女さ、むねボギャッ!」
「うるさい黙れ変態」
「僕の名前は変態じゃないからね?『イーブィ』って名前があるからね!?」
「変態天使」
「キリトまで!?」
イーブィの変態(?)っぷりは年相応のものだから、まぁ問題はないだろう。
だが、ユラだって同じ二十歳だ。イーブィの言動は、デリカシーがないというか……とにかく、殴られるのは当然だろう。
「ってかさ、ユラは自分の事心配したら?さっきから胸がボギャァッ!!」
「うるさい!こういう服なのよ!」
「うん、ワカッタ。で、彼氏いない歴=年齢のユラさゴフッ!デリカシーがむ、無念…」
イーブィ、撃沈。
…こいつは馬鹿か。そうだ、馬鹿だ。
「あんたはさっきから何が言いたいのよ!」
「まぁそう怒るなよ。俺も不思議に思っていたから訊くけど…なんでユラは彼氏がいないんだ?」
「…知るか!」
「いやぁ、その男勝りな口調と美人で知的な容姿とのギャップに堕ちる男はいっぱいいるよ。でも近づきがたいのさ…きっと」
「不思議だな」
「分析すんな。あと変態キモい」
「ヒドイ!」
と言いつつも嬉しそうにヘラヘラと笑っている。そんなイーブィにまたパンチが飛んだ。