第4章 心の扉を開くのは
つられて私も其処に入った。
すると、花柄や無地、水玉、チェック……様々な形や柄の、だが上品な小物が売られていて、この店が雑貨屋だと分かった。
イーブィに目を遣ると、アクセサリー売り場で立ち止まり、何やら顔を顰めて装飾品を物色していた。
…何してんの。
私の冷ややかな視線にも慌てないと言う事は、彼が真剣になっている証拠だ。
私だってこういう物には興味がある。もう少し見ていたいと思ったが、彼が真剣になるなんて事は珍しい。1人にした方がいいだろう、と気を利かせて私は店を出る事にした。
店を出る時、店頭におすすめのアクセサリーが飾られていた。何気なく見ていると、"それ"が視界に入ってきた。
それは王冠モチーフのペンダントだった。
クリスタルな碧玉が埋め込まれていて、その王冠の下には小さな鍵が付いている。
シルバーのチェーン、青くて小さな珠入りの王冠と、チェーンと同色の鍵。
綺麗だな…。
「ユラー!」
ハッとした。振り向くと、イーブィが手招きしていて、隣には店員さんらしき女性が経っていた。
長い付き合いだ。用件はなんとなく分かる。
私は「ヤ・ダ」と口パクで答え、足早に店を出た。
「ちょっとー!何処行くのさあ!」
イーブィは無視。試しにこれ付けてみろ、とか言うんでしょ。やぁよ。そんなお人形役になんて成りたくない。
イーブィは無視。
無視だ。
——ネックレスが光に照らされて、視界の端でキラリと光った。