第4章 心の扉を開くのは
「よぉ、ねーちゃん」
…変な声ね。
「イイ身体してんなぁ」
「どれどれ、にーちゃんが感触確かめてやるよ…」
こいつら、いきなり話し掛けて来たと思えば…!
目の前の男3人組。2人があたしに壁ドンし、1人が乳を揉もうとしている。
手の動きキモっ…。
「その服は……へぇ、大學2年かぁ!」
「んにしても、美人だなぁ」
こいつら…急所蹴られてぇのか?
つか臭ッ!
我慢ならずに足を上げようとした。
その時……
「触るな」
鋭い声が耳を刺す。
瞬く間に、男達がバタバタと倒れていった。
「イーブィ…!」
「いやぁ、間に合って良かった〜」
ヘラッと笑って頭を掻くコイツは、同級生のイーブィ。
チャラいし変態だし馬鹿だけど、歴とした天使だ。
「…ユラ、今物凄く失礼な事考えてなかった?考えてたよね?」
「いや、いつもと同じ事考えてたけど」
「酷い!鬼だよユラ!」
「いいえ、天使です」
——あたし・ユラと、このイーブィとのこんなやり取りは日常茶飯事。
結構楽しいんだけどね。
「ん〜、でもほんとに良かった!」
「…何よ、そんなに?」
笑顔で頭をポンポンされたら、いくらイーブィでもドキドキする。
いや、顔は悪くないし…ってか、寧ろイケメン?
だから、至近距離で見つめられればキュン死するけど(決してあたしが思った訳じゃないんだけどね!)…。
「勿論!ユラは俺の大切な人だから」
「イーブィ…」
すると、頭に置かれていた手がスルスルと下がっていって…
「それにね…」
むぎゅっ
「この胸、触っていいのは俺だけだmブギャッ!!」
すかさず股間に蹴りを入れた。あの男らと同じ目に合わせてやろうかと思ったけど、止めておいた。ユラさまの慈悲深い心のおかげだ。
「死ね変態イーブィ死ね」
前言撤回。鼻の下伸ばしてたコイツはイケメンでもなんでもないわ。
「なんで2回言ったの⁉︎」
「重要な事だから。死ね変態イーブィ死ね死ね」
「増えてる!言葉増えてるぅぅ…」
イーブィは急所を押さえながら涙を堪えている。
ふぅん、痛そー。(他人事)
「もう、ユラは…!」