第7章 第6章
ドリブルをしながら、鋭い目つきで黄瀬君を見つめる大輝。
黄瀬君の表情も、いつもからは考えられないくらい真剣だった。
「……頑張れ……」
観客席(ここ)にいても感じる、とてつもない緊張感。
隣に座っている人の、息をのむ音が聞こえたーーーーその時だった。
「……っ!」
私の目では追えないスピードで、黄瀬君をかわそうと動き出した大輝。
でも、大輝が動いた瞬間、黄瀬君も素早く動いて再び大輝の目の前に現れる。
その間、僅か数秒。
「……笑った」
大輝を見ると、口角をあげ、笑っているのがわかった。
またドリブルをしかける大輝。
通さない黄瀬君。
「楽しそう……」
大輝の目は、輝いていた。