第1章 一松くんと私。
「……ただいま」
玄関の方から声がした。
この声は………一松くんだ!
帰ってきたんだ!
私はすぐにこたつから出て、玄関に向かった。
「おかえり!一松くん!」
一松くんはびっくりしたのか目をぱちくりさせていたが、すぐにいつものまぶたが垂れ下がった目に戻った。
「 、来てたんだ」
いつものそっけない返し。
もう慣れなけどね。
「おかえりー、一松兄さん。」
私はまたこたつに入った。
もちろん一松くんの隣で。
「あっそうだ!!!!」
急にトド松くんがひらめいた!って顔になった。
いきなりで驚いた………
「明日一松兄さんと、出かけないよ!」
「へっ?」
思わずバカみたいな反応をしてしまった…!
というより、出かける?
出かけるって、まさかで、デートってやつですか!?
無理無理無理!!!!!
絶対無理だ……!
「明日、学校休みでしょ?行って来なよ!」
「えっでも……」
「行って来なよ。オレも賛成」
周りを見渡すと、みんな頷いて私の方を見ている。
一人、ニヤニヤした赤いやつがいるけど、今日はほっとこう…。
「で、でも、一松くんは大丈夫なの?」
「………ん。別に用事ないし。それに…」
それになんだ……?
「は、オレとどっか行くの嫌なの?」
私はその言葉に意識してしまった。
顔が熱くなるのを感じる。
そんなこと言われたら照れちゃうよ……。
「で、嫌なのどうなの」
「あっ、ひぇ、い、行く!行きます!!」
「よし、決まりだなー!」
あー!!!!
明日一松くんとデートみたいなことするよ!!
二人で出かけるんだよ!
どうしよう、嬉しすぎて飛び上がりそうだ!
「じゃあ、明日早くなるだろうし、ここで解散!
一松兄さん、送ってきてー!」
「……ん」
普通に歩こうとしてるのに、ロボットみたいにカチカチに歩いしてしまう。
そのせいで、一松くんに突っ込まれてしまった。
そのあと一松くんは家まで送ってくれて、何事もおきなかった。
あぁー、明日が楽しみだ!