第3章 二話

あんずSIDE

読者の皆様に簡単に今の状況を説明しよう。
目の前に初めて会った男の娘、、、ごほん。
男の人が私の一言で泣いている。以上。
お母さん、、、。人を喜ばせるも悲しませるも言葉次第って本当なんだね、、、。
私は今、身を持って体験したよ、、、。
？「ひっ、、、く、、、」
さっきからこれの繰り返しである。
何か話してくれないかなぁ。
？「たしかにっ、、、俺っ、、、泉先輩みたいにカッコ良くないしっ、、、嵐先輩みたいに女心わかってるわけでもないしっ、、、凛月先輩みたいに色気があるわけでもないしっ、、、つーくんみたいに紳士的でもないしっ、、、レオ先輩みたいにすば抜けた特技とかないけどぉ、、、っ」
、、、話してくれた。
この人の話を聞く限り彼はKnightsのメンバーなのだろう。
でもKnightsに彼みたいに可愛らしい男の人がいただろうか？
、、、いたな。
瀬名先輩が異常なほど『可愛い』と騒いでた子が。
確か名前が、、、
あんず「音園未友くん？」
？「えっ、、、？」
彼は不思議そうな顔をした。
音園未友くんで間違いないのだろう。
あんず「Knightsのメンバーの音園未友くんだよね？」
未友「うん！俺っ音園未友だよ！！」
よかった。泣き止んでくれた。
未友「やっぱり、俺のこと知っててくれたんだね！」
彼がニコニコしながら聞いてくる。
あんず「うん。瀬名先輩がすごく『可愛い』子が居るって騒いでたから」
私がそう言うと彼の顔が曇り出してしまった。
未友「、、、」
あんず「？あっ、、、。ごめんね。『可愛い』なんて言われてもいい気しないよね、、、？」
確かにそうだ。高校生の男の子が『可愛い』なんて言われて喜ぶ訳がない。
そう思い私が慌てて謝罪をすると、、、
未友「ううん、、、。俺、『可愛い』って言われるの、、、好きだよ、、、？」
彼はそう言って悲しそうに笑った。
あんず「本当？よかった」
私がにこっと笑うと彼は今度は嬉しそうに笑った。
笑うと非常に可愛らしい。
私がつい見惚れていると、、、。
？「ちょっと〜そこに居られると邪魔なんだけど〜。どいてくれない？」
悪魔の囁き声が聞こえた。