第2章 『Trade 9→2 』菅原
が意識して今日誘ってきたのかは分からないけど、今日は金曜日。
明日は二人とも休みだ。
だから、時間は気にせず好きなだけここにいられる。
………もちろん、が良ければの話だけど。
は部屋に入ってからも明らかに様子がおかしかった。
お茶をいれようとキッチンに立つも、食器を取り落としたりしているのか、さっきから何度も派手な音を立てている。
「なあ、大丈夫?何か手伝おうか?」
見かねてキッチンの方へ向かうと、はその肩を大袈裟に震わせて俺の方に視線を向けた。
「だ、大丈夫です!もう終わりますから!」
そう言うけど今度は、お茶請けに用意したらしい個別包装されたクッキーをキッチンテーブルにばらまいている。
が慌てて拾い集めるから、俺も手伝った。
そして、最後の一枚を拾おうとした時。
と指が触れ合った。
は、それだけで顔を真っ赤にして俺から離れようとするから、思わずその手を追いかける。
捕まえて、その手を包み込んだ。
。
俺、勘違いしてもいいのかな。
もう二度とこの手を、離したくない。