• テキストサイズ

【HQ】春が始まる。〜After Story 〜

第2章 『Trade 9→2 』菅原




いつものように外で食事したあと、今は一人で暮らすのアパートまで彼女を送り届ける。



それは、ここ半年の間で俺達のお決まりになっていた。



でも、部屋の中に入ったことはない。



から声をかけられたことはなかったし、俺もきちんと付き合うまではそうするつもりはなかった。



だって、好きな相手が一人で暮らしている部屋になんて入ってしまったら。



自分を抑えきれるかどうか自信がなかった。



だから、いつもと同じように部屋の前までを送って、おやすみと声をかけ、背中を向けた。



いつもなら、それでさよなら。



だけど、今日は違った。



「あ……あの。」



の声に、振り返る。
するとそこには、意を決したように真剣な表情のがいた。



「お茶でも飲んで、いきませんか。」



「え……」



予想外の言葉に、俺は少し戸惑ってしまった。



とうとう、部屋に入れてもいいと思ってもらえるまでになったんだ。



そう思ったし、もちろん嬉しいんだけど……



は、どういうつもりで俺に声をかけたんだろう。



何と言葉を返そうか迷っていたら、が、そっと俺の服の袖をつまんだ。



「まだ一緒に………いたいです。」



その言葉に、心臓が揺さぶられた。



夢でも見てるのか、俺……



呆然としたままに促され、その日、俺は初めて彼女の部屋に入ることになった。


/ 37ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp