第2章 『Trade 9→2 』菅原
気を紛らわせるために色んな話題をふっていたら、ひょんなことからまた影山の話になった。
二人が別れたのは、ごく最近のことらしい。
ということは、随分長い間付き合っていたことになる。
あいつは、今や全日本の最強セッターで海外にもしょっちゅう行っているようだった。
テレビで放送されるバレーの中継は、いつも見ているし国際試合の結果も気にして追っているから知っている。
そんなあいつを待って、待って。
待ちくたびれちゃったんだな。
俺ならそんな思い、させないよ。
飽きるくらいの側にいて、お前のこと、守るよ。
昔ふられた時と同じことを思っていることに気付き、俺は心の中で苦笑した。
「。」
「はい? 」
「俺に、もう一度だけチャンスをくれないか。」
「………?」
お酒のせいもあるのか、は反応が鈍かった。
俺を見つめて不思議そうな顔をする。
「俺と、付き合ってほしい。」
「え………?」