第2章 『Trade 9→2 』菅原
「な、このあと時間ある?今どこに行こうとしてた?」
「今は一人で、ご飯食べてから帰ろうと思ってたところで……」
「じゃあさ、俺も一緒に行っていい?」
「え?」
「せっかく会えたのにこれでさよならなんて寂しいじゃんか。もっと色々話したいし。」
「あ、はい…」
同意の返事をよこした彼女の隣に並び、笑顔を向けてから歩き始める。
昔はこうやって毎日、帰り道を二人で並んで歩いた。
その時の気持ちや空気みたいなものがの隣にいると怖いくらい鮮やかに蘇ってきて、俺はまた切なくなった。
歩きながら、考える。
ここで、このタイミングで再び出会えたことは、きっと運命だ。
やっぱりこの子は俺が幸せにするべきなんだ。
影山はバレーでは敵わない相手だったけど、こと恋愛においては。
絶対に俺のほうが、を幸せにできる。