第2章 『Trade 9→2 』菅原
純粋な疑問だった。
別に探りを入れようと思ったわけじゃない。
俺の言葉を受けては少し俯いたあと、苦笑してから静かに口を開いた。
「菅原先輩の言う通りでした。」
「え?」
「私、寂しがりの甘ちゃんだから、たえられなかった。」
それを聞いた瞬間に悟った。
影山とは、終わったんだということを。
最後に話した時、俺はに少しきついことを言ってしまった。
それは、影山と付き合った後のこと。
影山が順調にバレー人生を進めば進むほど、会えない時間は増え、物理的な距離も開く。
その分、は辛い思いをするだろう、と。
はその時のことを言っているんだと分かった。
「……。」
「ダメですよね、もっと強くならないと。一人で生きていかれますって言えるくらい。」
強がってそう言うのことを、俺は思わず抱きしめたくなってしまう。
抱きしめて、髪を撫でて、そして言ってやりたい。
そんな言葉は、には似合わないよ。