第2章 『Trade 9→2 』菅原
高校卒業後、俺も人並みに恋愛はしてきた。
けど、やっぱりどうしても拭い切れないのがのことだった。
もちろん、付き合っている子が居た時はその子の事を一番に考えたし、自分が出来る限り大切にもした。
でも、ひとたび恋が終わりを告げると、毎回思い出してしまうのはのことで。
俺の心に深く刺さった棘みたいに、いつまでも俺の中からの存在は消え去ってはくれなかった。
無理もない。
あんなに自分から追いかけて、どうしても手に入れたかった恋は、後にも先にもあの一度だけ。
は、あの頃の俺のすべてだった。
そんな彼女が今、もうすぐ、俺の横を通り過ぎる。
もう会うことはないと思っていた。
愛しい、その横顔。