第2章 旦那
「では、プライベートの方ではございますか?」
「プライベート・・・。」
冥は生放送であるにも関わらず、うーんと考え込んでしまった。
「ほんと、野球以外に趣味の無い奴なんだから。」
「○○、あまりそういう事を言ってやるな。」
「そうよ。それにしても、これだけ長く映されても飽きないぐらいのイケメンねぇ。」
母さんに言われて、改めて画面越しに冥の顔を見る。
ほんと。これを肴に酒が飲めるわ。
酔って来たあたしはさらに酒を啜った。
と、顔を上げた冥と目が合った気がした。
いや、あたしと目が合ったんじゃなくて、冥からすればカメラを見ただけなんだけど。
なぜか、あたしの前でしか見せない冥の顔がそこにあった気がした。