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蒼い恋

第10章 逆巻という名



「親父....」

「えっ....」

シュウはぼそっと呟いた

すると、彼が現れた途端、音楽は止まり

会場の人々はみんな彼の前で頭を下げる

『カールハインツ様...!!』

「!」

客人は皆、魅入ったように彼を見つめている

"カールハインツ"

この人が....シュウの父親で、政治家の逆巻透吾....

テレビで見る姿とは全く異なっていて驚いた

彼は皆に振り返り、微笑みを見せる

『今日はよく集まってくれたな』

カールハインツはシュウにちらっと視線を送り満足気な表情を浮かべた

一方でシュウは鬱陶しそうに頭をかく

『さぁ、夜会を続けよう』

カールハインツがそう言うと再び音楽は流れ始めた


ーーーーーーーーーーーーーーーーー

大きなステンドグラスがある部屋に私とシュウは通された

カールハインツは部屋の真ん中にある大きな椅子に腰掛け、執事の運んだグラスに口づける

「それで、何の用なわけ?」


『父親が息子と話すのに理由がいるのか?』


カールハインツの言葉にシュウは怪訝そうな顔をする

「よく言うな

どうせ、聞きたいのは婚約の話だろ」

神みたいな存在のこの男に対し、シュウは親子というものは肩書きに過ぎないと思っていた

それほどまでにカールハインツとは圧倒的な存在である

「ふっ..シュウ」

カールハインツは私の方を見て、微笑みを見せる

「その子を私にも紹介してくれないか」

シュウのほうを見る

彼の表情はすこし強ばっているような気がした

「こいつは、立花ルカ」

「ほう..私はてっきりお前は人間嫌いだと思っていたが」

「!」

リカさんと同じようなことを口走る

シュウは昔、人と何かあったのだろうか

「そんな事、どうだっていい

とにかく、相手は連れてきた。もう、夜会だ見合いだは止めてくれ」

シュウの言葉にカールハインツはすこし考えるように押し黙っていた

すると...

「君」

カールハインツさんは私の方を向く

「はいっ」


「少しシュウを貸してくれないか?2人で話がしたい」


突然の言葉に動揺しつつも私は「分かりました」と返事をする


扉の方へ行こうとすると


「おい。会場にはリカやレイジが居る

出来るだけ傍にいろ」

シュウにこそっと耳打ちされた

私は頷き、部屋の外に出る

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