第7章 習得
シュウは私を胸で抱きとめ、耳元で囁く
「あんたみたいに男慣れしてない女は久しぶりだ」
彼に群がるのは王座の隣を欲しいとする女性ばかりで、皆彼に見初められようと必死なのだろう
「ほら、抱きしめただけで顔が真っ赤だ」
「ッ////」
シュウはひどく顔を近づけて、私をからかう様な事ばかり口にする
一体どうしたというのだ
「あんた、耳弱いだろ」
「!!///」
図星をつかれて余計顔が熱くなるのが分かった
しかし、もうここまでシュウと近づいてしまえばダンスを踊る距離なんて大したことないように思えてくる
シュウはふっと笑って、私の髪を撫でる
「それでいい」
「えっ....」
彼はどこか安心したように口元に笑みを浮かべる
「正直....別に上手く踊ろうとか考えなくていい
適当に場を和ませて、親父に見せたらそれでいいんだ
だから、あんまり思いつめた顔するな」
「!」
私は自分の顔がいつも以上に引きつっていた事が分かる
きっと、彼の隣に並ぶことに負い目を感じていたからだろう
彼はそんなところまで気を配ってくれている
ルカは自分の胸を抑える
いつもの発作とは違う
温かく、ぎゅっと胸が締め付けられる
偽りだったはずの想いが、引き返せないところまで来ているような....
そんな気がした