第6章 未知
私はこの屋敷の中なら自由にしても良いと指示を受けた
夜会は5日後に行われるそうで、それまでに適当に作法やダンスを覚えておけとも言われた
明日から学校も長期休暇に入るため私はホッとした
海外に居る父に心配をかけるのはどうしても避けたい
(....それにしても....この家すごく広いなぁ)
部屋に居てもする事のない私は家の中を歩いていた
流石、王様の家なだけあり、高級感と異様な雰囲気に包まれていた
私は立ち止まり、ガラスの窓から外を見る
屋敷の外の森は真っ暗で気味が悪い
しかし、景色の奥には綺麗な数多くの電灯が見えた
きっと、街があるのだろう
ルカは街と重ねるように手を当てる
(私は....一体....どうなるんだろう)
ここはヴァンパイアの館....
本で読んだことがある
ヴァンパイアは人間の生き血を吸う魔物....
まさか、彼が吸血鬼だなんて誰が予想しただろうか
けれど、不思議と落ち着いてる
なんだか夢を見てるようで、事実と虚偽の境が分からない感じだ
(はぁ....)
ヴァンパイアの婚約者が人間でそれに何も知らない私なんかでいいのだろうか....
そうだ....私は逆巻シュウの事を何も知らない
ぎゅっ....
ルカは腕を握る
抱き抱えてくれた彼の手の感触を今でも覚えてる
随分冷たいと思ったのも当然で、彼はもともと体温を持っていないのだろう
優しい人だと....おもってた
けれど、彼は強引に私を誘拐し、私の血を啜った
どこか裏切られたような気持ちが溢れてくる
『おい』
突然声をかけられ肩がびくっと跳ねる