第4章 再び
「す、すごい....」
私はシュウさんに玄関まで連れられ、門へ行くとそこには黒くて長い如何にもお金持ちというようなリムジンが止まってあった
シュウさんは運転席へ行って窓を2回ほど叩き、何かを告げる
「おい。あんた」
「は、はいっ」
彼は開いた扉の中へあくびをしながら入っていく
「はやく乗れ」
私はおずおずと中へ入る
中にはシートがたくさんあって、シュウさんはその一つに腰掛ける
「あんたも座りなよ」
シュウさんは自分の座る横をポンポンと叩く
私は少し遠慮がちに腰掛ける
すると、車はゆっくりと動き始める
10人は余裕に入る車に私は少し落ち着かなかった
それに、私の家は車で帰るほど遠い距離ではないのに
私がきょろきょろしていると....
「あんた、さっきからうざい
じっとしてろよ」
「ご、ごめんなさい
でも、こんな車初めて乗るから....
シュウさんは凄くお金持ちなんですね」
「....別に」
彼の父は政治家で私でも知っている有名な人だ
きっと、その息子の彼はとても優遇されているのだろうなと思う
チラッと隣に座る彼を見る
目を閉じている彼の横顔は本当に綺麗で私には不釣り合いな高級車も彼だとそれは自然な風景に変わる
あぁ....この人はそちら側の人間だ
そう思わずにはいられなかった
「なに」
「ッ!!」
ぼーっと彼の顔を見ていると、うざいと言って彼の目が開く
心臓がどきどきしてる
そろそろ着くのではないだろうか
彼と一緒に居るのは少し緊張する
ルカが控え気味に視線を逸らすと
シュウは彼女の頬に手を伸ばす
「ッ...シュウ...さん?」
冷たく綺麗な指が私の熱い体を冷やす
しかし、それは少しの恐怖も兼ね備えていた
「...あんたさ」
シュウさんが怠そうに開けた右の瞳と目が合う
本当に真珠のような瞳....
まただ、心が持っていかれるようなーーーー
目が....重たい....
視界がぼやける
『特別な夢....みたくない?』
そう言って微笑む彼の言葉を最後に私は意識がすっと遠のいた
ルカの体はシュウの肩に倒れる
運転手に「頼んだ」そう言うと
車の進む方向が変わる
シュウは彼女の髪を撫で呟く
『これでいい』
そう言う彼は満足気な表情を浮かべていた