第3章 雨音
ーーー今日は雨が酷かった
俺はよくこの公園に来ていた
ここは少し街から離れてて、学校からも遠すぎず、ゆっくり休むには丁度いい場所だ
ただ、今日は突然雨が降り出して
俺は帰ろうと思ったが、面倒くさくなってここでまた眠っていた
プレイヤーさえ壊れなきゃ俺には気候の変化なんてどうでもいい
そう思っていると
「あの....ッ....」
雨音に紛れて女の声がした
俺は鬱陶しさを覚えつつ、目を開けた
そこにはまたあの女が居た
傘をさし、不思議そうに俺を見ている
こいつは俺がヴァンパイアだということに気づいていないのだろう
もちろんヴァンパイアは風邪なんて引かないし、寒さにだって強い
けど、この女はしつこく俺に声をかけてくる
俺はこいつの意図が全く分からなかった
そんなにして俺の気を引きたいのか....
しかし、こいつはそんな感じはしなかった
俺は正直、こうゆう奴が一番苦手だ
お節介でお人好しで純情ぶってる奴....
....俺はもう、人とは関わらない....
目を閉じ、そんな事を考えていると突然、うるさかった雨音が止んだ
それと同時に俺は目を開けた
「!」
俺の頭にはあいつの持ってた青い傘がかけてあり
公園の前の道路を見ると、あの女が鞄を抱きかかえて走っていった
彼女は彼に傘を渡し、急いで家に帰ったのだろう
彼は深くため息をつく
「チッ....もう濡れてんのに今更だろ....」
ただ雨がかからなくなった為、音楽がいつものように精密に聴こえる
彼は先程まで目の前にいた女の顔を浮かべ
やっぱり、苦手だ
そう呟きながら、俺はまた目を閉じた